Infant Thermal Environment

乳児サーマルマネキン

成人と比較して、乳児は環境から受ける熱的な適応力が低く、乳児は温熱環境に対するよりいっそうの配慮が必要であり、乳幼児に基づいた温熱環境の評価が必要である。しかし、人体の熱収支に基づいた乳児を対象とした温熱環境に関する被験者実験は倫理的におこなうことができない。そこで、乳児の温熱環境の評価に向けて、乳児の人体形状と伝熱面積をモデリングしたサーマルマネキンの開発をした。人体の熱収支や温熱環境評価をする際には、環境側の物理的な要素の不均一性や非対称性のみではなく、人体側の要素である皮膚温の不均一性や非対称性を考慮する必要が不可欠である。伝熱面積の観点から、乳児モデルの人体形状を定めるための乳児の体表区分ごとの体表面積を実測し、モデリングの妥当性を検証している。

乳児の季節別着衣面積増加率

乳児に対する温熱環境の検討には、乳児の人体係数値を明らかにし、人体熱モデルを用いた実験やシミュレーションが考えられる。しかし、乳児の温熱環境を検討するための不可欠な基礎データが充分に得られていない。典型的な季節の乳児の着衣における着衣面積増加率を明らかにしている。着衣面積増加率は、夏の着衣が1.22、中間期の着衣が1.42、冬の着衣が1.90となり、季節差が顕著となることを明らかにしている。

乳児の季節別着衣熱抵抗

乳児は環境から受ける熱的な適応力が低く、温熱環境に対する防御対策が必要と考えられる。乳児を対象とした被験者実験は倫理的におこなうことができない。乳児 サーマルマネキンを用いて、乳児の典型的な夏季と中間期、冬季の着衣の組み合わせの着衣熱抵抗 Iclを明らかにしている。夏季の着衣が0.30 clo、中間期の着衣が0.57 clo、冬季の着衣が1.02 cloとなることを明らかにしている。乳児の温熱環境の設計や評価をする場合には、乳児のデータを用いて検討することが不可欠といえる。

ベビーカーの着衣熱抵抗

ベビーカーに乗車する乳児は、地表面との距離が近接して、地表面からの熱放射による影響が顕著に強くなる。乳児はベビーカーに乗車中に熱中症のリスクが高まる。ベビーカーを着衣として取り扱うために、ベビーカーの着衣面積増加率 fclと着衣熱抵抗 Iclを明らかにしている。ベビーカーの着衣面積増加率 fclは3.21、ベビーカーの着衣熱抵抗 Iclは0.47 cloとなることを明らかにしている。ベビーカーは乳児と環境との間の熱収支に顕著な影響を及ぼすことを明確にしている。