熱の伝わり方

対流と伝導、放射によって熱は運ばれます。熱の伝わり方とは異なりますが、人体にとっては発汗という蒸散も重要となります。これは気温が高くても低くても常に身体の表面からおこなわれています。

対流は流体を介して伝えられ、生活空間では空気の流動の大小が熱授受の大小に関与します。伝導は個体を介して伝えられ、生活空間では物に触れる面積の大小が熱授受の大小に関与します。この2つの熱の伝わり方は、触れるもの同士の温度差が熱の伝わる量の大小に大きな影響をもたらします。そして、その伝わる速さも熱の伝わる量の大小に大きな影響をもたらします。

例えば、サウナ風呂には乾式と湿式がありますが、乾式の室内温度は80-100℃になっています。これは、空気が乾燥していて水蒸気量が少ないために、人体への熱の伝わり方が遅いことが要因となっています。それぞれの比熱と密度、熱伝導率が関係しますが、大きな影響をもっているのは熱伝導率です。温度差によっても異なりますが、0℃で考えると水が0.561W/mKに対して空気は0.0241W/mKと23倍程度異なります。この熱を伝える能力の差のおかげで火傷をしてしまいそうな温度でもサウナ風呂に入っていられるのです。もう一つの理由は、人体は常に汗をかいているのですが、汗をかく際に多量の熱を身体から奪っていることも影響しています。

放射は伝達物質を介さずに熱が伝えられ、熱のやり取りをするお互いの見た目の面積の大小が熱授受の大小に関与します。この見た目の面積というのは、お互いがどのような位置関係にあるかが重要となります。赤外線による熱のやりとりで、対流と伝導が単純な温度差だったのに対して、放射は温度の4乗の差が熱の伝わる量の大小に影響をもたらします。

例えば赤外線も光の一種です。天井に備えられている蛍光灯を直接見るとまぶしいのですが、少し視線をずらすとまぶしさを感じなくなります。お互いの距離や蛍光灯の面積と光を受ける目の面積は変わらないのですが、向かいあう角度を変えて相対的な面積を少なくしたことがまぶしさを軽減したのです。放射による熱の移動も同じことがいえます。