快適な風

人体は気温や湿度、熱放射、熱伝導、湿度、身体活動、着衣によって快適と感じる体感温度が異なる。そして、身体の循環器系などの生理的活動に影響を受ける自立性体温調節に加えて、姿勢を変えるなどの行動性体温調節を起こす。

身近な行動性体温調節としては、暑いと感じる際には身体を広げたり、寒いと感じる際には身体を窄めるよな行動をし、環境に開放する皮膚表面の面積を変えて、身体からの熱移動量を調節している。身体が受ける風は速度にも影響を受けるが、この行動性体温調節の結果となる身体表面の面積である伝熱面積にも影響される。

また、身体には暑さを感じたり寒さを感じたりする感度が身体の部分によって異なる。夏にお日さまがさんさんと照っている時の暑さを避けるには背を向けたり、夏に風がそよぐような時の涼しさを求めるには風の向きに正面を向けたりする。

身体が感じる風は、風を受ける身体の面積や風を受ける身体部位、平均風速、最大風速、風の移ろい、風のゆらぎの周期、身体周囲の空気の温度と吹いてくる風の温度との差などに影響されている。身体が受ける風の早さの違いや冷たい風が吹いてくるという空気の温度と風の温度との差などは体感温度と関わりが強いことは分かり易いが、風の受け方に関わる身体の面積や部位、風のゆらぎなども体感温度には強い影響を与えている。

低酸素社会実現に向けて冷房温度を高めに設定して着衣の構成を見直す動きが示されて久しいが、身に付ける衣服のみでは限界があり、積極的に風の効果を利用することが必要とされる。即時的な視点からは、気温が高くなると環境を緩和させるために風速を早くして身体からの放熱量を調節することとなる。風に曝されるのが長い時間なのか短い時間なのかは、快適という観点からのみでなく体調という観点からの視点も必要となる