快適な生活環境

快適な生活環境は、人体と環境との間で人体の代謝量と着衣の状態に応じた身体からの熱損失量がほぼバランスし、血管の拡張と収縮の範囲内で体温を調節できる状態で、暑くもなく寒くもない中庸な環境で、快でも不快でもない状態が形成されている居住環境といえます。ただし、あまりにも変化の少ない刺激のない環境では、身体の調節機能が衰える可能性があるために、ある程度の刺激は必要です。

大きな温度変化がある空間では、身体の循環器に多大な負担を強いることになります。加齢に伴いその機能に衰えがあると、暑熱・寒冷障害の危険性が高まります。かつての日本では冬季の死亡者数が多くなりその変化量にピークが認められましたが、現在では冬季の気温変化が居住空間に影響さえることが少なくなりました。一方、現在では夏季に熱中症などの影響で死亡者数が多くなってきています。身体からの放熱ができ難くなり鬱熱状態となっています。

快適さには、熱バランスの取りやすい居住環境である必要があります。冬季の環境を例示すると、底冷えがするといった環境がありますが、これは壁や床面などの表面温度が低くて放射により身体からの熱が奪われている状態です。加えて、窓面付近で冷やされた室内空気が床面にまわり、居住者の滞在空間を冷やしてしまいます。足下付近は身体の他の部位と比較して、接触による伝導や着衣による保護も少ないので快適さに大きな影響を及ぼします。したがって、気温とともに室内構成面の表面温度も極端に低くない環境をつくっていくことが肝心となります。

これには、連続的に温度変化の少ないゆっくりとした暖房をしておくことになります。必然的に上下温度の差も少ない環境となります。頭付近と足元付近での温度差が1.5-2.0℃以内が、床面と天井面付近での温度差では3.0℃以内が快適性の目安ともいわれています。快適環境のところでも述べましたが、単に熱バランスだけではなく心理的影響を強く受ける満足感が関わってくると、暖身といった採暖状態でも充分に快適性が得られます。当然、極端に健康を害する状態であってはならないのですが、くつろぎを得る団欒空間などでは身を寄せあうような暖の取り方もあります。