快適環境

体感温度のところでも述べましたが、満足感などを伴う総合的な快適感の場合には心理的な要因が強くなり、我慢という要因も加わってきます。昔ながらの住まい方にも通じるものが一部あります。色々な意味で満足感の得られる状態があれば、快適と感じる側面もあります。ここでは、熱的な状態に限定して述べます。

快適という言葉には、消極的な快適さと積極的な快適さというものがあります。例えば、極端に暑かったり寒かったりする空間から少しでも変化のある環境になると一時刺激として積極的な快適さを生みます。冬にお風呂に入ると最初は心地よい快適さが生まれますが、身体がその温度に慣れてくると少し物足りなさを感じてしまいます。また、夏季の暑い屋外から冷房の効いたデパートに誘い込まれるように入ると、最初は物凄く快適ですがものの10分も経つと寒さを感じてしまいます。環境の変化が生み出す快適さです。一方、充分に時間が経過して身体と環境との熱のやり取りが落ち着いた後に感じる快適性を消極的な快適さといえます。身体からの発熱量と環境への損失熱量とがバランスしている状態です。

どちらを対象とするかによって快適と感じる大きな要因は異なってきます。積極的な快適さの場合には、気温や湿度、気流、熱放射などの環境の変化量が重要です。環境の急変化があるので、血管の急拡張と急収縮が伴っています。心臓にも負担がかかるので循環器系の疾患のある人にとっては重篤な影響をもたらすこともあります。心理的には我慢の先に快適さがあるという状態でしょうか。暖房時には無いのですが、冷房時には冷房病などの要因となります。消極的な快適さの場合には、人体と環境との間の熱バランスがとれていることが重要です。長く滞在している場合の快適さと考えればよいと思います。人体の代謝量と着衣の状態に応じた身体からの熱損失量がほぼバランスしているので、血管の拡張と収縮の範囲内で体温を調節できる状態ともいえます。暑さ寒さも中庸で快でも不快でもない状態です。